技術を武器にする経営(MOT:Management of Technology)とは?

イノベーション

皆さんもこの言葉をよく耳にすると思います。

僕の前職の会社でもこの言葉がよく飛び交っており,今後の成長のためにもイノベーションを興すことが重要だという認識が会社全体に浸透していた気がします。

そもそも僕はイノベーションってなに?どうやってイノベーションを興すのか?ずっと疑問を持っていました。

そんな時にイノベーションに密接に関わっているMOT(Management of Technology)という言葉を知り,MOTとは何か?を勉強する為に本書を読んでみました。

技術を武器にする経営--日本企業に必要なMOTとは何か

技術を武器にする経営--日本企業に必要なMOTとは何か

 

イノベーションって何?

本書では以下の定義がされていました。

イノベーションとは、「技術革新の結果として、新しい製品やサービスを作り出すことによって人間の社会生活を大きく改変すること」である。

イノベーションの定義で注意すべきは,新たな技術が人間の社会生活に大きな改変を与え,人々に実際に使用され,求められるまでに至らないとイノベーションとは呼べないということである。

つまり,「技術」を開発して技術者の満足度をあげるような,「技術」をゴールとして捉えるのではなく,「技術」は顧客が望むものを提供する一つの手段であるという認識を持ち続けることが重要だと述べられています。

確かに,仕事でもスキルばかりを伸ばしても,それ使って誰かの役に立たなければ価値があると見なされないので,常にそれを使って何をする・できるかということを意識し続けなければいけないと改めて感じました。

イノベーションを生み出す経営とは?

技術を利益に変える経営が必要

イノベーションを生み出す為には,MOT(Management of Technology)の名の通り技術,イノベーションを経営する必要があります。本書では,技術経営=ビジネスモデル+収益モデルの二つに分けられています。

そもそも経営とは?

技術を経営する役割を担っている人は会社の中に様々います。研究部長,プロジェクトマネージャーなどが当てはまります。

では,そのポジションの方に求められる経営とはどういうことかというと

「他人を通して事を成すこと」

と本書では定義されています。

つまり,人間社会の力学を理解して,社員のモチベーションを保ちながら間接的にプロジェクトを進行させていく,これが経営を担っているポジンションの方に求められることになります。

技術経営で特に重要なこと

 技術経営において重要なことは以下であると述べられています。

実践あるいは実現をも含んだ意味での学習活動を、しかもリーダー本人の学習活動ではない、他人が行う学習活動をいかに推進するか、それがMOTの肝である

会社である以上,利益を追求することが求められますが,それと同時に会社の技術を発展させていく必要があるため,技術開発のプロセスから常に新たなことを学ぶ姿勢が求められます。

しかし,学習活動は個人が自律的に行うことであり,他人からの指示で強制的にすることではありません。

そのため,経営する側の人間にとって如何に現場担当者に学習活動を行ってもらうのかが,それがとても難しい課題となっています。

これを読んで,自分自身の学習に当てはまりますが,常にモチベーションを上げる仕掛けづくりが必要であると感じました。インセンティブを自分で設けるのか,マインド面を変える努力をするのか,方法は人それぞれでありますが,工夫が必要です。もしかするとライザップのような二人三脚で応援を受けながら,徹底的に管理される方法も初めは必要なのかもしれません。

ビジネスモデルとは?

ビジネスモデルは,製品やサービスを顧客に届けるための仕事全体の流れ(例えば,代理店を使うか,自分たちで小売までするか。生産でどこからアウトソースするかといった要素)を指します。 

収益モデルとは?

収益モデルは,ビジネスモデルの仕組みの中でどのように収益を上げるのかといった仕掛け作りを指します。

 イノベーションを生み出し続けるには?

イノベーションを起こした企業でも継続が難しい理由が3つあります。それは以下の通りです。

  1. 油断する
  2. 誤解する
  3. 硬直化する 

まず,一つ目の「油断する」 ですが,破壊的イノベーションを業界初で生み出した企業ほど他の企業がすぐに追いつけるはずがないと油断をします。競合は常に接近してきていると理解し,新たな手を打ち続ける必要があります。

二つ目の「誤解する」ですが,技術のブレイクスルーと社会を動かすまでのイノベーションを混同してしまっている現象です。常に市場の変化を意識し続けることが重要になるます。

三つ目の「硬直化する」ですが,過去の考え方を踏襲したり,過去の成功にしがみついたりすると,イノベーションが興りにくい状態と言えます。常に新たな風を吹き込み続けることが求められます。

以上3つの理由から,イノベーションを興し続ける為には,

  • 予め市場の変化を予測し,コンセプトを3つ決めて,新たなモノ・サービスを段階的に発信し続け,競合を引き離す
  • カリスマリーダーを経営に入れる
  • 初心に戻る

 ことが重要だと述べられています。

まとめ

技術経営とは,技術をもとに人間の社会生活を改変するようなモノ・サービスを生み出す経営のことを指す。

技術経営においてイノベーションを生み出し続けるには,1. 市場を意識・予測し,予め3つのコンセプトを作っておく。2. 経営陣を常に見直す。3. 初心に戻る。以上3つのことが重要である。

また,技術経営を行うポジションの人には,人間社会の力学を理解し,常に現場の学習活動をモチベートすることが求められる。

 

本書は,イノベーションを興してきた身近な会社を例に取り上げ,とても分かりやすく書かれています。僕は経営の知識のまだまだ足りないですが,それでも問題なく読めましたので,ぜひ興味ある方は読んでみてください。